テーマ一:歴史と文化

台湾の民間信仰において、信者は祭事を通じて神に福を乞ったり神のご生誕を祝ったりする。そして、時と社会の変化とともにそのような祭事がイベント化することも多く見られるようになった。媽祖信仰の重要な祭事「迓媽祖」にもそのような変貌が現れている。すなわち、祭事は社会、歴史の変化、地域文化、人々の暮らしに影響され、その行われ方が変わっていくものである。神、土地(地域)、信者(人々)三者の関係性は地域アデンティティ、伝統文化の受け継ぎに対して重大な意味を持ち、そしてそれらが如何に影響しあうことも議論に値することである。

 

テーマ二:信仰と移動

その一、媽祖信仰は「移民」、人々の移動を通じて、発源地の中国から台湾、東南アジア、日本、アメリカや北米などに広がる。それから現地でローカル化し、それにつれて本来の媽祖信仰の形式と似通うが異なりも見られる信仰圏が出来つつある。その二、「繞境〔神輿巡行〕」、「進香」、「刈香」や「會香」などの活動は移動に関わることである。これらの活動を通して移民の開拓活動や移動の歴史、ルート及びその展開や変化をも見られる。その三、近年、各地方自治体が地元の歴史ある廟と連携し、「繞境〔神輿巡行〕」などの宗教イベントを行い、ローカル文化の特色を宣伝して地域活性化を促進する動きが盛んである。上記のような方向から信仰と移動の問題を考えても有効的であろう。

 

テーマ三:カルチャークリエーティブとマーケティング

媽祖信仰はもとより庶民生活に深く根付いている信仰の一つである。近年、特に若者も媽祖信仰に熱中になりつつある傾向が見られる。その理由の一つは慈愛かつ凛々しい媽祖のイメージの変化に関係する。聖なる雰囲気に満ちる媽祖のイメージが漫画化され、飾り物、衣食品や文房具などのデザインに活用され、記念商品、音楽、映画にまで媽祖のイメージがクリエーティブの要素として注がれるのである。テーマ三では、媽祖イメージの諸々の変貌、活用及びその現代的意味への議論が期待される。信仰とクリエーティブとのコーポーレーションが信仰を商業化させるか否か、具体的に例えば媽祖イメージをキャラクタ商品として、神(媽祖)のご加護を商品の付加価値として売り出すことが信仰の商業化をもたらすか否かへの議論を喚起する。

 

テーマ四:海神信仰とその他

媽祖信仰は中華文化圏の海神信仰に属す。一方、西洋にも海神信仰が古くから存在している。例えば、ギリシャ神話における海の主神ポセイドン(Poseidon)や北欧神話の中のエイギル(Aegir)などが挙げられる。では、中華文化圏の代表的な海神信仰である媽祖信仰と西洋のそれと比較する研究を通じて東西文化における海神信仰の相違を見出し、さらに地域文化ないし生活形態が如何に人々の信仰に影響するのかを考えるのも試みに値することである。

 

テーマ五:媽祖信仰と現代社会

毎年開催する「三月瘋媽祖」というのは、媽祖信仰によっての宗教祭事である。媽祖は航海の守り神として台湾の人々の信仰を深く集めており、生誕月とされる旧暦三月には、その誕生日である旧暦3月23日を祝うため、盛大な進香と参拝活動が行われる。媽祖のご加護を求める信者が各地から立ち寄り、大勢の観光客も駆けつける。参拝客が媽祖に祈願な思いを寄せており、数多くの屋台も出ており、賑やかに盛り上がる。そこで、媽祖の「繞境〔神輿巡行〕」は単なる庶民信仰によっての参拝活動だけでなく、既に台湾が世界に誇る大規模の文化イベントになっている。そのため、媽祖の「繞境〔神輿巡行〕」は台湾特有の民俗行事として、下記三つの方向に分けられて論議できる。
その一、神輿行列チームの巡礼/ツアー
その二、神輿行列に伴う参拝者、研究者及び観光客それぞれの思いと眼差し
その三、一般市民及び神輿行列ルート内の住民らが巡礼/ツアーに対する考え方

 

 

テーマ六:神輿巡行とメディアの活用

時代の進歩とともに、メディア技術も日々に革新していく。その中で、インターネットの発展が最も進んでいる。盛大な媽祖の巡礼行事の過程はインターネットに送信され、パソコンさえあれば、各地の信者らが自宅にでも神輿巡行の情報を把握でき、ウェブサイトで巡礼のライブ映像をオンタイムで見ることが可能になる。それに、神輿行列のルートの最新情報もGPSを通じて取得できる。そのような最先端技術の導入により、インターネットを通じて媽祖信仰が全面的に台湾に浸透させる。たとえ世界のどこにいても、誰でもウェブサイトによって、「三月瘋媽祖」という盛大な祭りの雰囲気をまるで現場にいたかのように吟味し堪能できる。そのため、メディア技術の活用はいかにも重要な役割に占めるかと、明らかになる。